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秩父鉱山(鉱山の話)第八話 道伸窪

 橋掛沢の先にS字カーブが あり、カーブの終わる右手から石灰沢に入ることができると、前回、お話ししました。

 今回は、道伸窪のお話をしますが、道伸窪はその先にあります。石灰沢のS字カーブから、さらに進むと、再び、S字カーブがあり、そこを越えると、道が大きく左にカーブします。道は、さらに、右に大きくカーブしますが、カーブの先に、道なりに進む本道と、左手に折れる道があります。

 その左手に折れた道が、道伸窪の入り口になります。

 道伸窪周辺では、かつての事務所の廃屋や、採掘した鉱物を運んだ引き込み線などを 見ることができます。この周辺は徒歩になりますが、さらに進むと、道伸窪通洞という 、かつて鉱物を採掘した大きな坑口を目にすることができます。しかし、現在、その坑口は完全に封鎖されていて、中に入ることはできません。 もちろん、どの鉱山の坑道であっても、危ないので勝手に中に入ることはできません。崩落があったり、足を踏み外すと落下してしまう縦坑があったり、坑道の中はとても危険に満ちているのです。

 ですから、道伸窪の観察はその周辺を探してみるのが良いでしょう。道伸窪では、大きなベスブ石の結晶が見つかることで有名で、以前は7cm大の結晶が出てきたこともあるのです。道伸窪で観察できる有名な鉱物は、ベスブ石の他に、水酸エレスタド石やクリントン石、また、黄鉄鉱や黄銅鉱などです。水酸エレスタド石は、カルシウムと水酸基から出来たケイ酸塩鉱物です。ふつう白や灰色をしているのですが、美しい標本は、淡い紫色をしていて、一目見て心惹かれることでしょう。クリントン石は雲母の一種で、緑色の薄状結晶をしています。また、ここで見つけられる黄鉄鉱は、一片が3cmほどの六面体結晶を成すものもあります。方解石の中に隠れていることもあります。

 道伸窪の上へさらに登っていくと、質の良いベスブ石を観察できる可能性がありますが、過去には事故も起きており、お勧めはできません。

 次回は、赤岩鉱床のお話をします。


和田文明




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