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秩父鉱山(鉱山の話)第七話 石灰沢

 前回は橋掛沢のお話をしました。橋掛沢は、ニッチツ工場(本部)から500〜600m程行ったところ所にあります。橋掛沢を過ぎると、なだらかな坂道がS字カーブを描きます。S字カーブのちょうど終わるあたりの右手に、車数台が駐車できるスペースがあります。そこに車を停め、崖を下って川に出ます。川幅は狭く、水量も少ないので、何とかその川を歩いて渡ることができます。川を渡って少し進むと沢があり、その沢の少し上流に砂防ダムが見えます。

 その沢が石灰沢です。沢沿いに登っていくと、それ程進まない内に二つ目の砂防ダムが目に留まります。途中、枯葉が堆積していて足がズボッと枯葉に埋もれますが、さほど長い距離ではないので、ちょっとの辛抱です。沢沿いには、方解石や石灰岩、ザクロ石がゴロゴロと転がっています。二つ目の砂防ダムを過ぎて、少し進んだ右手が谷状の崖になっています。崖の途中には倒木があり、「ああ、ここだな!」と気づくと思います。崖を登り倒木を越えたあたりが、石灰沢の観察地点になります。運が良ければ、大きな結晶を持ったベスブ石(ベスビアナイト)を見つけることができます。ここで観察できるベスブ石は、甲武信鉱山で見られるような柱状の結晶ではなく、やはりここで見かけることのできる灰礬ザクロ石(グロシュラー)に似た十二面体結晶をしています。十二面体結晶をしたベスブ石は珍しいと思います。さらに、ベスブ石が付いた母岩を見てみると、ブルースピネルが付いている場合があります。石灰沢ではクリントン石を見つけることもでき、ちょっとした観察スポットになっています。

 さて、2019年末に新鉱物が、ここ石灰沢で発見されました。新鉱物の名前は、ホルツタム石榴石(ホルツタマイト)と言います。ホルツタマイトの発見は世界で3例めで、日本では初めてです。ホルツタマイトはグロシュラーに水酸基が付いた珍しいザクロ石です。一度、石灰沢に足を延ばして、ホルツタマイトを見つけてみてはいかがでしょうか。  次回は、道伸窪のお話をします。


和田文明






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