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秩父鉱山(鉱山の話)第十話 六助沢

 秩父鉱山には、他にも多くの鉱床や露頭がありますが、今回で秩父鉱山のお話は終了します。

 六助沢は、けっこう面白い鉱物を見つけることができ、鉱物ファンにとって興味を駆り立てられる鉱床です。しかし、途中、かなり危険な場所があり、登山が不慣れな方にはお勧めできません。

 さて、六助沢に行くには二つのルートがあります。一つは、六助沢をそのまま沢伝いに登っていくルートです。しかし、これは危険なルートです。もう一つは、六助沢と雁掛沢の間を山の稜線沿いに登っていくルートです。こちらは時間がかかりますが多少安全なルートと言えます。

 大黒鉱床を少し進むと、ニッチツ第二工場があります。さらに、進むと道が右に折れ、雁掛トンネルへと続きます。和那波鉱床のお話をしたとき、長くて怖いトンネルとしてご紹介したのが雁掛トンネルです。その雁掛トンネルを覆うようにして、山の稜線ルートがあります。稜線伝いにしばらく登ったあと、崖を左手に降りて行けば、六助鉱床に辿り着きます。

 一方、六助沢ルートは、雁掛トンネル手前の側道を左に入り、川沿いをしばらく進むと、右手から水の流れている沢があります。そこが六助沢の入り口になります。先述したように、六助沢を直接登っていくルートは危険です。途中、沢は20〜30mも続く滑り台状の岩肌になります。以前、そこを滑り落ちた人から話を聞いたことがあります。無傷でしたが生きた心地はしなかったとのことです。

 さて、筆者が以前、沢伝いに登っていったとき、沢の途中に鮮やかな石が転がっているのを発見したことがあります。きれいなピンク色をした菱マンガン鉱があり、その表面には明るい金色の黄鉄鉱が散りばめられていて、見事な標本でした。

 六助沢で観察できる代表的な鉱物は、バスダム石です。きれいなピンク色をした放射状結晶の集合が特徴です。石の表面が酸化して黒くなっていますが、割ってみると鮮やかなピンク色を目にすることが出来るでしょう。六助沢では、他に、輝安鉱や磁硫鉄鉱 などの綺麗な結晶を発見できます。


和田文明

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