top of page
検索

秩父鉱山(鉱山の話)第五話 和那波鉱床

執筆者の写真: 事務局長事務局長

 今回は、和那波鉱床のお話をします。

 和那波鉱床の話をする前に、いったい秩父鉱山はどのように作られたのか、その話からしてみたいと思います。秩父鉱山はスカルンの代表的な鉱山です。スカルンとは、もともとあった石灰岩にマグマが貫入し、そこにできた変成岩のことを言います。石灰岩は堆積岩、マグマがゆっくりと冷えて固まると火成岩、そして、その接点にできた変成岩には様々な鉱物ができることが知られています。今から約1億8000万年前にできた石灰岩層に、約600万年前に石英閃緑岩(広い意味での花崗岩)が貫入してできたのが、秩父鉱山です。

 さて、和那波鉱床に話を戻します。小さな大黒橋を渡り、ニッチツ工場(第二工場)を左手に見て少し進むと、道が右に折れます。そこから雁掛トンネルに入りますが、それは、電灯の無い、300~400mも続く、荒削りのトンネルです。トンネルの真ん中で車を停めると、周囲は真っ暗。前方と後方に出口の明かりが小さく見えるだけです。ちょっとした肝試しスポットです。雁掛トンネルを抜け、さらに300mほど進むと、採掘した晶質石灰岩が積み上げられた、もう一つのニッチツ工場(本部)があります。手前には有名だけれど廃屋の様な「秩父鉱山郵便局」があります。今でも営業しているようです。ニッチツの工場を上方に仰ぐと、その奥に和那波鉱床があるのです。

 和那波鉱床の周辺は、石灰岩質で、変成作用を受けた部分に晶質石灰岩を作ります。秩父鉱山では多くの鉱口が閉ざされた中、ニッチツ工場がこの周辺で晶質石灰岩のみを今でも採掘し続けているのです。和那波鉱床では、また、磁鉄鉱や磁硫鉄鉱など、鉄鉱石を観察することができます。水産エレスタド石が出る事でも知られています。

 次回は橋掛沢の紹介をします。


和田文明


閲覧数:706回0件のコメント

最新記事

すべて表示

秩父鉱山(鉱山の話)第十話 六助沢

秩父鉱山には、他にも多くの鉱床や露頭がありますが、今回で秩父鉱山のお話は終了します。 六助沢は、けっこう面白い鉱物を見つけることができ、鉱物ファンにとって興味を駆り立てられる鉱床です。しかし、途中、かなり危険な場所があり、登山が不慣れな方にはお勧めできません。...

秩父鉱山(鉱山の話)第九話 赤岩鉱床

鉱山の話第七話で石灰沢のお話をしました。石灰沢に至るS字カーブを覚えていますか。そのカーブの途中、左側に秩父鉱山の住宅跡地を目にすることができます。 住宅跡地への入口には立入禁止の鎖が掛かっていますが、その鎖をひょいと跨いで道なりに進んで行きます。道は右に曲がり、そのまま沢...

秩父鉱山(鉱山の話)第八話 道伸窪

橋掛沢の先にS字カーブが あり、カーブの終わる右手から石灰沢に入ることができると、前回、お話ししました。 今回は、道伸窪のお話をしますが、道伸窪はその先にあります。石灰沢のS字カーブから、さらに進むと、再び、S字カーブがあり、そこを越えると、道が大きく左にカーブします。道は...

Comments


Copyright ©  2017    鉱物友の会

bottom of page