鉱山の話第七話で石灰沢のお話をしました。石灰沢に至るS字カーブを覚えていますか。そのカーブの途中、左側に秩父鉱山の住宅跡地を目にすることができます。
住宅跡地への入口には立入禁止の鎖が掛かっていますが、その鎖をひょいと跨いで道なりに進んで行きます。道は右に曲がり、そのまま沢沿いに通じています。沢を横切り、斜面を登っていくと、赤岩鉱床に辿り着きます。
今までお話ししてきた鉱床は、道路を降りてすぐの川沿いに位置する場所がおおく、さほど苦労することなく観察地点に辿り着くことができました。出合、山鳥、大黒がそうです。しかし、橋掛沢、石灰沢、道伸窪、そして今回の赤岩は、山の中に踏み込む感があり、次回お話しする六助と合わせて、登山の準備や下調べをしてから出かける必要があります。また、けっして一人で行くことのないよう留意すべきです。赤岩や六助は、危険な箇所もあるので、場所が分からない、無理かなと、思ったら、踏みとどまって、容易に観察できる場所に変更することが大切です。
さて、赤岩こうは、斧石で有名です。他の鉱物も観察できますが、赤岩は斧石です。斧石は、その名の通り、先端が斧のように尖っているので斧石と呼ばれます。英名では、Axinite(アキシナイト)。斧を英語でAxeと言いますね。カルシウム、マンガン、鉄、アルミニウムなどの入ったケイ酸塩鉱物です。石英閃緑岩の上に結晶した紫色や緑色の斧石を発見できれば、心弾むことでしょう。ちなみに、石英閃緑岩の隙間には鉄電気石(ショール)なども見つけることができるので、ぜひ、探してみましょう。
次回は、六助のお話をします。
和田文明
「立ち入り禁止の鎖を跨ぐ」のは流石にトラブルの原因になるのでは・・・・